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交通事故と社会保険等

健康保険と労災保険

業務中又は通勤途中の交通事故である場合は、労災保険が適用になりますので、労災の手続をとることになります。この場合、健康保険は適用できません。労災保険には、健康保険にあるような治療費における自己負担部分がないので、比較した場合、労災の方が有利と言えます。
業務中又は通勤途中で交通事故に遭ったときは、会社の最寄りの労働基準監督署に相談し、療養補償給付請求書や第三者行為災害届を労災保険の指定病院に提出する手続きが必要になります。
交通事故が業務外において発生した場合には、健康保険を使用することができます。
病院側は、健康保険を使われるよりも自由診療の方が利益が多くなるので、「交通事故の場合には健康保険は使えない。」と説明をすることがありますが、そんなことはありません。以前は健康保険を使用すると、治療方法に制限があり充分な治療を受けられないことがあったようですが、現在はそのようなことはないので、健康保険を使った方が良い場合があります(自由診療の方が治療方法に制限はありませんが、自賠責の枠(120万円)を考えると単価抑制にはなるので健康保険の使用を推奨します)。その方が被害者の負担が少なくて済みます。
なお、この場合も第三者の行為による傷病届等が必要となります。

労災保険や健康保険を利用して保険給付があった場合には、それぞれ管轄の行政官庁が被害者の加害者に対する損害賠償請求権を代位して、保険給付額の範囲で加害者に請求することになります。
加害者への請求書、示談書作成などは、行政書士等の業務となります。

労災保険と自賠責保険

1. 労災保険の給付の種類

(1) 療養補償給付
業務上及び通勤中の事由で病気や怪我をした場合、労災保険の指定病院で必要な診療を無料で受けられます。(労災指定病院以外の病院でも治療を受けることは可能ですし、その場合は療養の費用請求をすることにより、支払済の費用も戻ってきます)

(2) 休業補償給付
療養のため労働することができず、賃金が受けられないときに休業4日目から給与日額の約6割が支給されます。

(3) 障害補償給付
傷病が治った後に身体に障害が残ったときは、障害の程度に応じて障害補償年金か障害補償一時金が支給されます。

(4) 傷病補償年金
療養を開始してから1年6ヶ月経過しても完治しない場合で、かつ障害の程度が傷病等級の1級から3級に該当する場合は、休業補償給付に代えて、等級に応じた傷病補償年金が支給されます。

(5) 遺族補償給付
業務上及び通勤中の事由により死亡した場合は、遺族に遺族補償年金か遺族補償一時金が支給されます。

(6) 葬祭料
業務上の事由により死亡した被災労働者の葬祭を行う者に支給されます。

(7) 介護補償給付
業務上及び通勤中の事由による負傷又は疾病で障害補償年金又は傷病補償年金を受給している者が介護を必要とする場合に支給されます。

労災給付手続きの手数料はこちらyubi2.gif

2. 通勤途中に交通事故に遭った場合の労災保険と自賠責保険の関係

交通事故のうち、業務中や通勤途中に怪我をしたときは、自賠責保険の他、勤務先が加入している労災保険給付を受けられますし、どちらからでも給付を受けることができます。労災保険給付が先行して行われた場合には、支給額の限度において労災保険が損害賠償請求権を取得します。両保険間では自賠責保険先行の原則が取られていますが、まずどちらを先に請求するか検討してください。

では、どのような場合に労災保険を優先すべきでしょうか?

  1. 被災した労働者が加害者である場合(任意保険が下りない場合がある)
  2. 被害者であっても、相手加害者が自賠責保険にしか加入していない場合、もしくは自賠責保険にも加入していない無保険の場合(補償が少ない、あるいは補償されない場合があるから)
  3. 過失割合に争いがある場合(保険が下りるのに時間がかかる)
  4. 裁判になった場合(保険が下りるのに時間がかかる)

3. 労災保険と自賠責保険の調整

被災した労働者から労災保険給付の請求があった場合、厚生労働省からは「労災保険の給付と自賠責保険の損害賠償額の支払との先後の調整については、給付事務の円滑化をはかるため、原則として自賠責保険の支払を労災保険の給付に先行させるよう取り扱うこと」(昭41.12.16基発1305号)という通達が出ております。通達ですので、労働者に対する強制力はありませんが、公務員である労働基準監督官はこの取扱いをしなければなりません。労働基準監督署長は、保険給付に先立ち、自賠責保険の保険会社(自賠責共済の場合には都道府県共済連等)に対し、保険給付をしようとする金額、年月日等を通知するとともに被災労働者等が自賠責保険に請求を行っているかどうか、また請求が行われている場合には、損害賠償額や保険金、仮渡金の支払の有無等を照会します。これに対し保険会社から自賠責保険に請求がない旨回答があった場合には労災保険給付を行います。すでに自賠責保険から支払が行われていた場合、又は被災労働者が自賠責保険先行を希望した場合には、自賠責保険支払が先行しますので、その間、労災保険給付はストップします。

労災保険給付が先行した場合には、その金額の限度で労災保険が損害賠償請求権を取得し、自賠責保険に求償します。被害者の自賠責保険に対する被害者請求と労災保険の求償が競合した場合には、その金額を按分比例して支払われることになります。

4.自賠責保険の支払が先行した場合の労災保険給付額への影響

被災した労働者が、自賠責保険の損害賠償額を直接受領している場合には、労災保険給付からすでに自賠責から支払われた金額を控除した差額を支払うことになります。ただし、控除される額は同一項目からのみ控除されることになります。例えば、自賠責保険から70万円が支払われており、その内訳が、治療費 30万円、療養中の逸失利益25万円、慰謝料15万円だったとします。労災保険では、慰謝料は支払われませんから、治療費が療養補償給付に、療養中の逸失利益が休業補償給付にそれぞれ充当され、差額があれば、それが支払われることになります。

5. 示談をする場合の労災保険関係との注意点

被災労働者が加害者等と示談をした場合、その示談が真正に成立している場合(無効事由等がない場合)で、かつ示談の内容が受給権者の第三者(加害者等)に対する損害賠償請求権の全部の填補を目的としている場合には、示談成立後は労災保険給付が行われません。したがって、「今後も労災給付があるからこの額でいいや。」と安易に示談をしてしまうと、労災給付を受けられなくなる可能性があります。このような場合には、示談書に、「示談金額は労災保険給付を除く金額」である旨を明記しておく必要があります。