カスタマーハラスメント対策とは?

カスハラ規程の作り方を社労士が解説

近年、顧客による暴言や過度なクレームなどの カスタマーハラスメント(カスハラ) が社会問題になっています。

接客業だけでなく

  • 建設業
  • 医療
  • 介護
  • IT企業

など幅広い業種で発生しています。

企業がカスハラを放置すると

  • 従業員のメンタル不調
  • 離職
  • 労災申請
  • SNS炎上

など大きなリスクにつながる可能性があります。

そのため、多くの企業でカスタマーハラスメント対策規程(カスハラ規程)の整備が進んでいます。

本記事では、企業が知っておくべき

  • カスハラの定義
  • カスハラ規程の作り方
  • 企業が取るべき対策

を社労士の視点から解説します。

カスタマーハラスメントとは

カスタマーハラスメントとは、顧客や取引先などからの言動のうち、社会通念上不相当な方法で従業員に精神的・身体的苦痛を与える行為を指します。

カスハラの具体例

企業でよくあるカスハラの例として、次のようなものがあります。

  • 暴言や威圧的な言動
  • 長時間のクレーム
  • 土下座の強要
  • 人格否定
  • SNSでの誹謗中傷
  • 過度なサービス要求

このような行為は、従業員の精神的負担を増大させるだけでなく、企業の労務リスクにもつながります。

カスハラ対策が必要な理由

企業がカスハラ対策を行う理由は主に次の3つです。

従業員の安全確保

企業には 安全配慮義務 があり、従業員が安心して働ける環境を整える必要があります。

カスハラを放置すると

  • メンタル疾患
  • 労災申請
  • 休職

などにつながる可能性があります。

人材確保と離職防止

現在は人手不足の時代です。

従業員が「この会社は従業員を守ってくれる」と感じることは、採用力や定着率に大きく影響します。

③ SNS炎上リスク

顧客トラブルはSNSで拡散する可能性があります。

企業として

  • 対応ルール
  • 判断基準

を整備しておくことが重要です。

 

カスハラ規程に盛り込むべき内容

企業がカスハラ規程を作成する場合、次の内容を盛り込むことが一般的です。

規程の目的

例)

本規程は、顧客等からの不当な言動により従業員の就業環境が害されることを防止し、安全で働きやすい職場環境を確保することを目的とする。

カスハラの定義

次のような行為を具体的に記載します。

  • 暴言
  • 威圧
  • 長時間拘束
  • SNS誹謗中傷
  • 過度な要求

③ 会社の基本方針

企業としての姿勢を明確にします。

例)

正当なクレームには誠実に対応する

不当な要求には応じない

従業員の安全を最優先とする

④ 従業員の対応ルール

例)

単独で対応しない

上司へ報告する

記録を残す

⑤ 会社の対応措置

悪質な場合は

対応打ち切り

来店拒否

契約解除

などの措置を取ることを明確にします。

⑥ 相談窓口

従業員が安心して相談できる体制を整備します。

カスハラ規程作成をご希望の方はこちら→

カスハラ対応の基本フロー

企業では、次のような対応フローを整備すると実務で役立ちます。

1 状況確認

2 正当クレームか判断
3 上司へ報告
4 複数人で対応
5 対応打ち切り

このような対応マニュアルを整備することで、従業員が迷わず対応できます。

 

企業が必ず行うべきカスハラ対策

企業では次の対策が重要です。

カスハラ対策方針の明確化
カスハラ規程の整備
カスハラ対応マニュアル作成
管理職研修
相談体制整備

これらを制度として整備することで、カスハラリスクを大きく減らすことができます。

カスハラ対策は社労士への相談がおすすめ

カスハラ対策には

  • 就業規則
  • ハラスメント規程
  • 労務管理
  • 顧客対応ルール

など、複数の制度設計が必要になります。

中小企業では人事部や法務部がないことも多く、専門家の支援を受けることでスムーズに整備できます。

訪日観光客に関連するカスタマーハラスメント(カスハラ)事例と実務対応

※本記事は、現場で起こり得るトラブルを「事象類型(原因)」で整理したものです。国籍・人種・文化による断定を意図するものではありません。個別事案では、必ず事実確認と記録を前提に対応してください。

目的

訪日観光客への接客・販売・宿泊・飲食等の現場で、過度な要求や威圧的言動などにより従業員が疲弊するケースに備え、予防策と対応フローを整理します。

カスハラとは、顧客・取引先等の言動のうち、社会通念上相当な範囲を超えて従業員に精神的・身体的苦痛を与える行為をいいます。なお、正当なクレーム(商品・サービス改善の指摘)と、方法・態様が不相当な要求は区別して扱うことが重要です。

訪日観光客対応で起こりやすいトラブル類型(例

以下は「よく起こる原因」を類型化したものです。個人差が大きいため、類型はあくまで判断補助として用います。

① 料金・予約条件の認識違い(表示・説明不足が引き金になりやすい)

追加料金(税・サービス料・清掃費・デポジット等)を『聞いていない』と主張される

キャンセル規定や返金条件の理解不足から強い不満につながる

部屋タイプ・食事条件・チェックイン時間など予約条件の誤認

② サービス期待値のギャップ(“当然あるはず”の思い込み)

無料アップグレード、特別対応、優先案内などを強く要求される

『顧客は常に正しい』という前提で従業員への高圧的態度に発展することがある

慣習の違い(チップ、謝罪の受け止め方、時間感覚など)から誤解が生じる

③ ルール衝突(施設・法令・安全上の制約)

禁煙、撮影禁止、立入制限、年齢制限などのルールに反発される

安全や他のお客様への配慮のための制限を、誤解なく説明できる体制が必要

飲酒・騒音・迷惑行為への注意が、口論に発展する

④ 過剰要求・交渉(“交渉”がエスカレートしやすい)

値引き・返金・無償提供を繰り返し求め、応じないと威圧する

『レビューに悪く書く』『SNSに投稿する』などの示唆で圧力をかける(いわゆるレビュー脅迫)

土下座や過度な謝罪を求める、長時間拘束する

⑤ 撮影・SNS・レビュー関連(拡散を盾にした要求)

従業員や店内を無断撮影し、削除要請に反発する

虚偽・誇張を含む投稿を示唆して要求を通そうとする

投稿拡散を理由に金銭やサービスを求める

予防策(トラブルを起こさない設計)

料金・条件を“見える化”:税・サービス料、追加費用、キャンセル規定、返金条件、デポジット等を予約画面・店頭・館内で明確に表示(多言語が望ましい)。

事前案内の標準化:チェックイン/受付時に「重要事項(3点〜5点)」を定型文で説明し、同意の形(チェック欄・署名・規約リンク)を整える。

ルールの合理性を説明:禁止事項は『なぜ必要か(安全・衛生・法令・他のお客様保護)』をセットで伝える。

エスカレーション基準を明文化:現場→責任者→本部→警察相談まで、誰が何を判断するかを決め、単独対応を避ける。

記録文化:日時・場所・相手・発言・要求・対応・証拠(録音/防犯カメラ等)を残す。後日の紛争予防に直結する。

現場対応フロー(標準手順)

1. STEP1 事実確認:要求内容・背景・発生経緯を整理。感情的な応酬を避ける。

2. STEP2 正当クレームか判定:内容の妥当性(何を求めているか)と、方法の相当性(言い方・態様)を分けて評価する。

3. STEP3 共感と説明:不快な思いへの配慮(共感)を述べつつ、事実とルールを簡潔に提示。『できること/できないこと』を明確にする。

4. STEP4 代替案提示:可能な範囲で選択肢を提示(例:日程変更、別メニュー、返金規定に沿った処理等)。

5. STEP5 エスカレーション:威圧・長時間拘束・暴言等がある場合は、責任者同席・複数名対応へ切替。

6. STEP6 対応打ち切り:安全確保が最優先。脅迫・暴力・業務妨害等が疑われる場合は退去要請・警察相談を検討。

レビュー脅迫・無断撮影への基本対応(例)

以下は一般的な対応例です。法的評価は個別事情で変わるため、断定せず「該当し得る」前提で運用します。

レビューやSNS投稿を示唆して金銭・サービスを要求された場合:要求には応じず、規定に基づく対応(返金条件等)を説明し、記録を残す。

無断撮影が問題となる場合:館内掲示(撮影可否・肖像の扱い)を根拠に、停止・削除を依頼。従業員の安全が脅かされる場合は責任者対応へ切替。

脅迫的・威圧的な言動が継続する場合:対応の限界ライン(退去要請、警察相談基準)を事前に決めておく。

社内整備として用意しておくと良いもの

カスハラ対応方針(ポリシー)と社内周知文

対応マニュアル(初動・エスカレーション・打ち切り基準)

記録シート(テンプレ)と証拠保全ルール

相談窓口(人事/管理職/外部)の設計

多言語掲示(料金、規約、撮影、迷惑行為、キャンセル規定)

管理職・現場向け研修(ロールプレイ含む)

専門家に相談すべきケース(目安)

従業員が精神的負担を受け、休職・退職リスクが高い(安全配慮義務の観点)

悪質顧客への来店拒否・契約解除・警告文など、外部文書対応が必要

SNS/レビュー問題が長期化し、社内で判断基準が定まらない

同種事案が繰り返され、再発防止の制度設計(規程・研修・体制)が必要

まとめ

訪日観光客対応では、言語や慣習の違いから誤解が生じることがあります。重要なのは、国籍ではなく「事象(原因)」に基づいて、①見える化(表示・説明)②標準フロー(複数名対応・記録・打ち切り基準)③従業員保護(安全配慮)を整備することです。

お問い合わせ

カスハラ対策(方針・規程・マニュアル・研修・相談窓口整備)をご検討の企業様は、お気軽にご相談ください。現場の実態に合わせて、運用可能なルールと体制づくりを支援します。

 
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