金融庁から、平成25年3月末までの中小企業金融円滑化法の再延長が発表されました。東日本大震災や円高、欧州債務危機の影響など中小企業をめぐる情勢が厳しくなっているため、金融面の下支え継続が必要と判断したようです。
中小企業金融円滑化法とは、「平成の徳政令」と言われ、金融機関に毎月の返済額を軽減又は猶予する努力義務を課すことにより、中小・零細企業の資金繰りを安定化させることを目的とした法律です。
帝国データバンクの動向調査によると、円滑化法利用後の倒産は、平成21年12月4日の施行から2年間で190件判明しました。施行1年目の12件に対し、2年目は178件に急増しました。平成23年9月以降は3ヵ月連続で月間最多倒産件数を更新するなど、同法利用企業の息切れがここにきて顕著になってきたかたちです。
190件の内訳を見ると、業種別では「製造業」の59件が最も多く、「建設業」が51件で続きました。原因別では、「販売不振」(152件、80.0%)が大部分を占めたおります。
また、同じく帝国データバンクの調査によると、平成22年の「円高関連倒産」が58件だったのに対し、翌23年は1〜11月で73件と年末を待たずに前年を上回っております。
これまではデリバティブ損失など投機の失敗が多かったのですが、現在は大企業の海外シフトの動きを受け、「製造業」を中心に受注減少で倒産に追い込まれるケースが目立ち始めています。
以上のことから、円滑化法の再延長はされましたが、今年は先送りされてきた倒産が表面化する年になりそうです。